負け犬の節分
今日は節分であった。
仕事帰り、イオンに行くと、800円の恵方巻がすべて半額になっていた。
「閉店の3時間も前に半額にしてくれるなんて、たいしたもんですよ」と、俺は感激のあまり、長州力ばりに唸ってしまった。
帰宅後、半額の恵方巻をかじりながら、はてなブログをみていると、やはり、今日は節分を題材にした記事が多数投稿されていた。
『家族で豆まきをしました』、『子供たちと一緒に手巻き寿司を作りました』etc。
俺は最初、微笑ましく、それらの記事を読んでおった。だが、途中から、ふと我にかえり、そして思った。
果たして、俺にもこういう記事を書ける日が来るのだろうかと。
俺は独身である。しかもいい年したオッサンだ。
同級生のほとんどは結婚して、家庭を持っている。すでに孫までいる猛者もおるというのに、俺はここ数年、交際相手すらいない。
別に俺は「恋愛より仕事」という生き方をしてきたわけではない。むしろ逆だ。俺の中の優先順位で「仕事」は限りなく低い。
現に俺は昨年末の繁忙期、会社を休んで、ももクロを観にいった。
あれから、もう2ヶ月たつというのに、いまだ社内では、俺への批判の嵐が吹き荒れている。
春の人事では契約を切られるか、それとも最底辺のポジションで留まることができるのか。ギリギリのラインに俺は立っている。
半額の恵方巻を晩飯にしていることからわかるように、金銭的にもカツカツだ。
人目を引くビジュアルでないことは、小学生の頃から把握している。
以上のデータから勘案した結果、俺に結婚は一生無理。つまり、節分の日に、『家族で豆まきをしました』だの、『子供たちと一緒に手巻き寿司を作りました』だのいう記事をアップすることは、死ぬまで不可能という結論に至った。
永遠にぼっち・・。そう考えると、涙がこみあげてきた。
涙のせいで、恵方巻がしょっぱくなってしまった。
本日、かような記事を投稿した連中に告ぐ。
おい、おまえら! 閲覧者がその記事を読んで、どんな気持ちになるのか、よくよく考えてから、アップしろ!
楽しげに家族しやがって!
何が『鬼は外』だ?
本当の鬼は、おまえらじゃあ!
・・ってこんな事を書いてるような奴、そりゃ結婚できんわな。
今週のお題「鬼」