墓参り代行はアカン
今週のお題「冷やし◯◯」
お盆。妹が子供を連れてうちに来た。
以下、妹の漫談。
「今日は、タカシ(ダンナの名前)の所のお墓参りする予定やってんけど、タカシに急に仕事はいったから、中止なってん。
けど今、めっちゃコロナすごいやん。ほんまは行きたなかってん。
去年もなあ、タカシに『墓参り代行を頼もうや』って、提案したんや。
そしたら、タカシ、めっちゃキレてなあ。
『そんな赤の他人に頼むなんて、ご先祖様に失礼やろ! 何考えてねん!』って、怒鳴りよってん。
完全にDVや。
そのくせな、去年、墓地についたとき、タカシのやつ、なにしでかした思う?
『あれ? うちの墓どこやったかな?』って、めっちゃ迷うてんねん。
ほんま、どっちがご先祖様に失礼やっちゅうねんゆう話や!」
漫談おわり。
姪っ子がシャツの前をパタパタして、めっちゃ暑がってた。
「アイス食べる?」ときいたら、「うん」と答えたので、冷蔵庫から爽を出して、姪っ子にあげた。
姪っ子はまずフタをぺろぺろと入念になめておった。
そのあと、本体のほうを食べ始めた。
一口一口、かみしめるように、食べておった。
食べ終わってからも、じっとカップの底をみつめておった。
足りんのかな?と思ったので、「もう1個、食べる?」と聞いた。
そしたら、姪っ子、「いらん。おじちゃんのようなメタボになりたくない」と答えた。
失礼なガキである。
親の顔が見てみたいと思った。
夕方、タカシ君が妹たちを迎えに来た。
せっかくなので、いっしょに夕食を食べようゆうことになった。
出前が来る間、みんなでテレビみておったら、ニュースで「墓参り代行が活況」とゆう話題をやっとった。
番組にでてきた業者は、それはそれはめっちゃ丁寧な仕事ぶりであった。
妹がテレビを指さしながら、タカシ君に「みてみい。あんだけしてくれたら、ご先祖様も、めっちゃ喜ぶでえ」と言った。
するとタカシ君は「あほか。あれはテレビやから、あんだけしとんねん。カメラまわってへんかったら、めっちゃ手をぬいとるわい。墓石に腰かけて、一服とかしとるわい」と反論した。
妹が「するわけないやろ」と言うと、タカシ君は「よし、わかった。じゃあ、墓参り代行を頼もう。ほんで、あいつらがちゃんと仕事するかどうか、みんなで近くの物陰から隠れて、監視しよう」と提案した。
姪っ子が「それやったら、頼んだ意味ないやん」と、つっこむと、皆で大笑いとなった。
丁々発止で冗談を言い合う、妹たちを見て、僕はめっちゃうらやましくなった。
こういう家族っていいなあ、と思った。
自分は独身で、結婚の予定もないが、もし将来、家庭を持つことがあれば、妹たちみたいな楽しい家庭を作りたいなあと思った。
そして彼らと楽しい交流を末長くしたいなあと思った。
・・・が、しかし!
僕が「君ら、おもろいなあ。家族で今年のМー1に出たらどう?絶対、優勝するで」と冗談を飛ばしたところ、思わぬ反応が返ってきた。
「お義兄さん、あれは素人が出て、優勝できる大会やないんですよ。寒いこと言わんといてくださいよ」
「ごめんね。うちのお兄ちゃん、生まれてから、いっぺんも人を笑わしたことないから、お笑いをなめてるとこあるのよ」
「おじちゃんは人間クーラーやなあ。口をひらくと、部屋がめっちゃキンキンに冷えるわあ」
こ、こいつら、一家総出でフルボッコにしやがって・・。
前言撤回。妹一家とは、今後なるべく疎遠になろうと思った。