演劇ノンタス

雑記ブログ

寿司職人になった同級生

僕には、寿司職人になった同級生がいます。

 

タケオ(仮名)というやつで、小さいながら自分の店も構えています。(店の名前は「タケオ寿司」。そのままやんけ)。

 

同級生のよしみで、たまに食べに行くのですが、正直、味はいまいちです。

 

僕は普段、回る店でしか、寿司を食べたことがないので、もしかして、自分の味覚に問題があるのでは・・と思ったりもしていました。

 

しかし、会社の同僚と食べに行った際、店を出た後、「あいつ、本当に修行したんけ? スーパーの寿司の方が何倍もおいしいぞ」と、同僚が陰口をたたいていたので、タケオの腕は、違う意味で、本物なんだなと確信しました。

 

タケオは高校卒業後、調理師学校に行って、その後、九州のお店で寿司修行をしたそうです。

 

タケオから聞いた、その頃のエピソードを2つほど紹介します。

 

①ケンカ事件

ある日、タケオが他の弟子とケンカになったそうです。最初は口論だったのですが、だんだん互いがエキサイトして、ついにつかみあいに発展しました。

 

すると、そこへ兄弟子のAさんが現れ、「おいおまえら、なにやってんだ!」と止めに入りました。

 

そして二人を引き離すや、「いいか! 寿司職人の手は寿司を握るためにあるんだ! 人を殴るためにあるんじゃない!」と一喝したそうです。

 

このAさんという兄弟子は、普段、寿司をつまみぐいするわ、おつりはまちがえるわ、段取りは悪いわ、出前中にパチンコ行くわで、正直、タケオは見下していたのですが、この言葉には、すっかり胸を打たれたそうです。

 

「Aさんの言う通りだ」

 

タケオは、すぐさま反省し、相手にも謝り、和解をしたといいます。

 

ところが、後日、マンガ喫茶で「将太の寿司」を読んでいた所、Aさんの放ったセリフが、まんま載っていたのを発見しました。

 

「なんじゃい。ネタ元ここかい。あのAさんの口から、あんな素晴らしい言葉が出てくるなんて、おかしいと思ったわい。まったく、あいつは寿司だけじゃなく、マンガからもつまみぐいするんやな」と、タケオはそれまで以上に、Aさんを見下すようになったそうです。

 

②親方の失言事件

とある日の営業中。店の電話が鳴りました。親方がとったところ、それはクレームの電話でした。

 

「子供の誕生祝いに注文をしたのだが、さび抜きにしてくれと頼んだのに、全部さびが入ってるじゃないか!」

という内容でした。

 

親方は「どうもすみません!すぐにさび抜きを持ってまいります!」と電話の向こうの相手へ平身低頭に謝罪しました。

 

ところが電話を切った後、親方はさっきまでの態度はどこへやら、「ふん。ガキに寿司を食わすなんて、十年早いわい」と、悪態をついたそうです。

 

あいにく、その時、店内には親子連れのお客さんがいました。その家族は結構な割合で、店に来てくれる常連さんでしたが、以降、店に来ることは一切なくなったそうです。

 

 

環境が人を作ると聞きますが、こういうヘンチョコリンな親方と兄弟子に囲まれて修行をしたタケオの寿司が、いま一つなのも、当然の帰結といってもいいでしょう。

 

 

さて、そんなタケオですが、最近、インスタを始めて、自分の握った寿司を定期的にアップしています。

 

いかにおいしく見えるか、光や角度を考え、いろいろ工夫をしながら、撮影しているそうです。

 

そんなもんあげるヒマがあったら、寿司職人としての腕をあげんかいと思う今日この頃です。

 

 

 

 

今週のお題「寿司」

ダジャレ兄ちゃん

よく「オッサンになるとダジャレを多用するようになる」と聞く。

 

うちの兄も例外でなく、40歳を過ぎたあたりからか、やたらとダジャレを口にするようになった。

 

たとえば、僕が「今度、旅行で札幌に行くんや」と言うと、兄が「あそこは治安が悪いからな、気をつけろや」と言うのである。

 

そんなのは初耳なので、「えっ?そうなん?」と真剣に聞くと、兄が「うむ。気を抜いて歩いてたら、サッとポロシャツを盗られるで」と、かましてくるわけである。

 

これほど、まじめにきいて損したと思う瞬間はない。

 

また、いっしょにイオンに行った際も、エレベーターの中で兄がめちゃでかい声で、こんなことをぬかしよった。

 

「さすが、イオンや。いおんな(色んな)もんがあるなあ」

 

はずかしさのあまり、他人のふりをしておったら、兄が「おい、なにかいおんか(言わんか)」と、ダジャレツッコミをしてきよった。

 

他のお客に失笑され、これなら、オナラを聞かれる方がまだマシやなと心底思った。

 

 

かつての兄はこんな男ではなかった。若い頃は、ガチガチのダウンタウン信者で、ぬるい笑いを敵視さえしておったのである。

 

僕がまだ中学生の頃、かるいダジャレを飛ばしたところ、「しょうもないことで笑いをとろうとするな! ダジャレなんかな、お笑い偏差値『0』の幼稚園児でも思いつくんや! 2度とぬかすな、このドアホ!」と、兄から大説教をくらったことがあるし、

 

またテレビで林家ぺーが「たわし、バカよね~」というダジャレを披露していた際など、「クソが! おまえのアフロヘア根こそぎ抜いたろか!」と激昂しておったのである。

 

 

それが今やまったく見る影もなくなり、ところかまわず、ダジャレを連発。

 

テレビで、ぺーが「犬は変ですよ。そこにいるのに居ぬ」とボケるや、「ヒャーッハッハッハッ!」と、パー子と同じタイミングで笑っているのである。

 

 

 

もはや、兄のお笑い偏差値は完全に「0」、いや、マイナス「100」まで落ちたと言っても過言ではないだろう。

 

 

しかし、人間、ここまで変わるものだろうか? いくらなんでも落差がひどすぎる。

 

映画「君の名は」ではないが、きっと兄はどっかでめちゃめちゃしょうもないセンスの奴と、中身が入れ替わったのであろう。自分としてはそうとしか、納得できないのである。

 

 

さて、そんな別人28号になった兄であるが、実は仕事の関係で、今年から、東京に住んでいる。

 

で、先日、兄から電話があり、久々に会話をしたのであるが・・。

 

互いの近況を簡単に報告しあった後、兄が「ところでおまえ、オリンピックはどうすんねん?」と聞いてきた。

 

僕が「予定がなかったら、みにいくかもしれんな。その時は兄ちゃんちに泊めてな」と答えたところ、「あほか! コロナに感染したらどうすんねん!」と怒った。

 

続けて兄は「外国から山ほど人が来るんやぞ。中には新たな変異株を持ってる人間もおるかもしれん。ワクチンを接種した人間でも感染するかもしれんのや。おまえのために言うとんや。たのむから家で観戦しろ」と、実に熱のこもった口調で語った。

 

兄の心遣いに胸をジーンと打たれた僕は「せやな。わかった。行けへんよ」と言った。

 

すると兄は、なんとこんなダジャレをかましてきよったのである。

 

「よし。東京には絶対、コロナよ。じゃなかった。くるなよ」

 

 

あまりのしょうもなさに絶句していると、兄が「おーい。笑い声が聞こえんが、もしかして、オレと会えんから泣いとんのか?」と、聞いてきた。

 

 

もうすぐ七夕である。僕の今年の願いは「東京オリンピックの成功」と「兄の人格が元に戻ること」の2つである。

 

 

 

 

1998年のバラエティー

今週のお題「おうち時間2021」

 

 

今年はガマンのゴールデンウイークなので、どこにも遊びにいかず、家でガラクタの整理をしておったら、1本のビデオテープが出てきた。

 

ラベルには「P・その他」と書かれてあった。筆跡から兄の字である。

 

「ははあん。これはピンク映画かポルノの『P』だな。しょうがない兄だ」と言いつつ、ビデオデッキに入れて再生すると、画面には笑福亭鶴瓶上岡龍太郎がやっていたトーク番組「パペポTV」が映し出された。

 

「なんやねん。がっかり」と肩をおとしつつも、まあこれはこれで面白いかもと見始めると、案の定、おもしろかった。 

 

時は1998年初旬。当時、公開されて大ヒットしていた映画「タイタニック」について、2人が語っていた。

 

 

上岡「あれはあのババアのウソ話なんです」(笑)

鶴瓶「ババア!?」

上岡「どこに証拠があんねん。おまえが好き放題言うとるだけや。そんなウソ話に3時間つきあわすな! それに大したウソ話やない。ウソ話なら、君の方がずっとおもろい!」(笑)

鶴瓶「・・ウソ話!?」

上岡「せやから、タイタニックに乗った鶴瓶とさんまの方がずっとおもろい!」(笑)

鶴瓶「人の話をようそんな・・」

 

自分は昔、この映画でずいぶん感動した記憶があるのだが・・。「そうか。実話じゃなかったのか・・。あの日の涙を返せ」とディカプリオに詰め寄りたくなった。ちなみに「タイタニック」(日本語タイトル『ババアのウソ話』)は今週、金曜ロードショーで放送するんで、未見の方はぜひこの機会に。

 

 

パペポ」の後に入っていたのが、「FNS番組対抗!春の祭典スペシャル」だった。これは1998年4月に放送された、フジテレビの番組祭りである。びっくりしたことに、ビートたけしが司会ではなく、「アンビリバボーチーム」で出演しておった。(まあチームと言っても一人だけなのだが)

 

で、1コーナーの司会でタモリが登場したのだが、たけしとのやりとりが非常に面白かった。

 

タモリ「奇跡体験アンビリバボーって、あんたの人生?」(笑)

(中略)

タモリ「アンビリバボーにあんた出てた?」(笑)

たけし「あんただって、昔、いいかげんなことやってただろ! アタマと尻出て、中身出てこねーで! 『太陽にほえろ』の石原裕次郎みたいなやり方しやがって! それと同じ!」(笑)

 

 

・・というやりとりがあったり、また、たけしが1度出した「5番」という答えをこっそり、「2番」に変えて・・。

 

タモリ「あんた、さっき『5番』だったじゃないか」(笑)

たけし「なにいってんの。あっ、さっきはこうしてたから、『2』が『5』に見えたんだ」(笑)

タモリ「どうやったら、こう刺さるんだ!」(笑)

 

・・という、やりとりがあったりと。とにかく、さんまのいない場で、タモリとたけしが、丁々発止のトークを繰り広げるのは非常に珍しく、実にレアな映像であった。

 

 

その後、マッスル(当時人気だった外国人タレント)が登場し、2人をこんなふうにいじっていた。

 

マッスル「今日はすごいメンバーだなあ。お前以外はな、タモリ」(笑)

タモリ「・・・・」

(中略)

マッスル「やあ、たけし。ベネチア映画祭グランプリおめでとう!」

たけし「どうも」

マッスル「『HANA-BI』観させてもらったよ。いや~、笑った。笑った。90分間、笑いっぱなしだったよ。またあんな爆笑映画を撮ってくれよな」(笑)

たけし「バカヤロー!」(笑)

 

 

どんな大御所に対しても、ひるむことなく、ガンガンいじっていく、その姿勢は、さしずめ、「20世紀のフワちゃん」と言ったところだろうか。(まあ、マッスルはただ、ディレクターの指示通りに動いてるだけなんで、ぜんぜん違うかもしれんが・・)

 

 

マッスルが言っていたように、当時、たけしは前年秋にベネチアで快挙を成し遂げ、一躍、日本中が「たけしフィーバー」に沸いたのだった。1月に公開された同作もヒットし、また、ダウンタウンの松ちゃんとの対談が話題になった本「コマネチ!」も50万部のベストセラーになり、この頃のたけしはタレントとして、とても脂がのっていた。

 

 

たけしの年表(20世紀まで)をざっくり書くとこんな感じである。

 

漫才ブームで人気(80年)→フライデー襲撃で逮捕(86年)→映画監督進出(89年)→バイク事故で重傷(94年)→ベネチア映画祭グランプリ(97年)

 

こんなに起伏の激しいタレントは他にいないのではないか。

 

タモリが放った「奇跡体験アンビリバボーって、あんたの人生?」というセリフは、本当にうまいこと言うものである。これこそ「言いえて妙」というやつであろう。

 

 

春の祭典」の後に入っていたのが「号外!!爆笑大問題」であった。これは爆笑問題が深夜にやっていたニュースバラエティである。

 

 

ビデオに残っていたのは1998年の8月に放送された「札幌での公開収録の回」であった。

 

以下、太田光のコラム。

 

太田「札幌に来ました。空港に着いた時、言葉の微妙なニュアンスが気になりました。『ようこそ。いらっしゃいましたポロ~』」(笑)

(田中「そんな語尾つけるか!」)

太田「『東京は暑いでしょポロ~』」(笑)

(田中「藤子不二雄の漫画じゃねえんだ!」)

(中略)

太田「今日はせっかく北海道にいるので、私などではなく、この人にコラムをやってもらおうと思います。・・・・・。どうも。五郎です」(笑)

(田中「似てねー!」)

太田「お、俺は、普段、富良野にいるんだけど、急にコラムやれって言われて、札幌に来たんだけど・・、いやあ、まいったなあ」(笑)

(田中「なにやってんだ一人で!」)

 

書く必要もないと思うが、五郎というのは「北の国から」で、田中邦衛が演じていた、あの黒板五郎である。芸人が営業先でよくやる「ご当地ネタ」であるが、あまりのバカバカしさに声を出して、笑ってしまった。

 

 

爆笑問題は当時33歳。まだ、ゴールデンの司会などはやっていなかったが、これを見ただけで、「ああこの人たちは大ブレークするなあ。きっと将来、冠番組を何本もやることになるんだろうな」と感じさせるに十分な映像であった。(まあ、結果評論と言われれば、ぐうの音も出ないんすけどね)

 

 

3本のバラエティを見終わって感じたのは、面白いものは23年の時を経ても、色あせないんだなあ、時の洗礼を受けたりしないんだなあということだ。

 

 

いや~、このビデオのおかげで、ステイホームでありながら、なかなか楽しいゴールデンウィークとなった。

 

 

以上、今週のお題「おうち時間1998、・・もとい、2021」でした。

 

狂ったフォロワー

ワシはnoteをやっとんやが、まー人気がない。半年以上やっとるが、先月のPV数はたったの『20』である。

 

内訳はわかっとる。ワシは先月、20人のnoteに「スキ」をつけた。(「スキ」というのは、はてなブログでいうところの「はてなスター」のことだ)

 

おそらく、その「スキ」をつけられた20人が、「ひゃー。わたしの記事に『スキ』を押してくれた人が、いてはるわ~。どんな人が押したのかしらん? ちょっと見てこよう~」と、ワシのnoteを訪れたのであろう。

 

そして、ワシのnoteを見るや、「フン」と鼻を鳴らして一蹴し、立ち去っていったんだと思う。

 

もちろん、鼻を鳴らしたかどうかは定かではないが、同様のリアクションをしたのは、間違いない。なぜなら、「スキ」を押した20人のうち、「スキ」返しをしてくれた人間は、一人もおらんかったからだ。あいつらめ~。

 

まあ、もっとも、ワシだって、ワシみたいな記事を書いてる奴に絶対、スキは押さんので、奴らの反応は正しいといっていいだろう。

 

 

さて、そんな大人気のワシのnoteであるが、今日、開いたら、とんでもない事件が起きていた。

 

なんと、開始以来、ずーと「0」だったフォロワー数に「1」がカウントされておったのだ。

 

なんやねん、それ。そりゃ、noteを利用しとる奴なんて、何万人もおんねんから、中には、モノ好きもおるやろ。さわぎすぎじゃ。すかたん。

 

そう思う人もいるだろう。だが、それは違う。

 

なぜなら、ワシはプロフィールの欄に『フォローいりません』と書いているのである。

 

なぜ、そんなことを書いているのか、理由は長くなるので、割愛するが、一言でいえば、「自分はnoteに一切、書き残したいことを書いていない」ということだ。

 

閑話休題

 

わざわざ「フォローいりません」と書いてある人間のnoteをフォローする理由はいったい何なのか?

 

ワシのnoteがよほどスキなのか?(絶対あり得ん)。 日本語が読めないのか?(これもあり得ん)。 単なるいやがらせか?(可能性大)。 いずれにせよ、常軌を逸した行動であることには間違いない。

 

ワシはコイツのnoteを見に行くことにした。場合によっては、コイツの記事のコメント欄に「このボケ! ワシは『フォローいらん』書いとるやろ!  お前は日本語よめんのか! ドアホ! 幼稚園からやり直せ! バカチンが!」と書き荒らし、もしコイツが逆上して反撃してこようものなら、ソッコーで謝罪し、その後、ソッコーで退会手続きをして、noteとおさらばすることにしよう。

 

そんな覚悟を胸に、いざ、コイツのnoteに乗り込んだ。

 

ところが、そこで待っていたのは、予想外の風景であった。

 

なんと、コイツはnoteを立ち上げてはいるものの、記事を1個も書いておらん奴だったのだ。

 

いや、確かにnoteには『ゲスト』なる連中がおる。読むのが専門で、スキを押したり、誰かのフォロワーになったり、誰かのコメント欄に感想を書いたりはするものの、自分では一切、記事を書かないという方々だ。

 

だが、コイツは「ゲスト」ではないのだ。なぜなら、コイツは自分のプロフィール欄に「これから楽しい記事をドンドン書いていきます。みなさん、感想やコメントよろしくおねがいします」的なことを書いておるのだ。

 

記事をドンドン書いていくと言っておきながら、1個も書いていないのだから、公約違反である。

 

そして、コイツは記事を書いていないので、当然、コメント欄は存在しない。つまり、ワシが「フォローするな!」と抗議しようにも、「このドアホ!」と罵倒しようにもできないわけである。チキショーッ!

 

さらに驚いたのは、コイツはワシを含めて、5人をフォローしておるが、なんと、コイツのフォロワーが2人おるのである。

 

しかも、この2人はコイツがフォローしている5人の中にはいないのである。(つまり、フォロバではないのである)。

 

この2人は一体、何を考えて、コイツのフォロワーになったのか?

 

「フォローするから、はやく、楽しい記事をどんどん書いてね~」という、期待を込めてなったのか?

 

それとも「フォローするから、これからもずーっと、ずーっと、何も書かないでね~」という、願いを込めてなったのか?

 

はたまた、この2人には、ワシの目には映らない、たのしーい記事が見えておるのか?

 

「フォローいりません」と書いてあるワシのnoteをフォローするコイツは狂っておるが、コイツのnoteをフォローしている、この2人はもっと狂っておる。

 

4人中、3人が狂人。noteは狂人の巣窟と言っても過言ではないだろう。

 

(noteやってる人、見てたらごめんね)

 

 

PS・このブログは読者登録歓迎なんで、よかったらよろしくお願いします。

 

今週のお題「下書き供養」

ビンタ入学式

昨日、会社で、テレビみてたら、小学校の卒業式のニュースが流れていた。すると、大学生のバイト君が「オレの小学校の卒業式は、結構、インパクトのある事件おきたんすよ」と言うので、「え、何がおきたん?」と興味津々で聞くと、彼はこんなエピソードを語りだした。

 

「卒業式で『蛍の光』をみんなで合唱したんすよ。で、歌い終わった後、着席したら、うしろから、『あかん、あかん、お前ら、全然声が出てへんやないか!』という声が聞こえてきたんすわ。

 

振り返ったら、保護者席で、どっかのおじいさんが立ってたんすよ。めっちゃ怒り顔でね。で、そのおじいさんが『ピアノの音ばかり、聞こえて、お前らの声、全然聞こえへん! パチンコ屋の閉店BGMちゃうねんぞ!』と怒鳴ったんすわ。

 

でね、進行役の先生が『式の最中なのでお静かにお願いします』とヤンワリ注意したんすけど、おじいさんの怒りおさまらんで、『そんな元気ないなら、中学生活とてもやってかれへんぞ!』と、ガンガン吠えまくるんすわ。

 

で、先生もこのジジイに何いうてもダメ思ったんでしょうね。おじいさんに『わかりましたー!』って返事した後、オレらに向かって、『みんなー、もう1回、蛍の光を歌おう! どうせ全員で歌うの最後やから、思いっきり声出して歌おうや!』と言うたんすわ。

 

そしたら、ピアノの音鳴り出して、異例のやり直しが始まったんすわ。オレらも「また歌うん?でもまた声小さかったら、あのおじいさんにダメ出しくらうな。しゃあない。こうなったら、でかい声で歌おうか」いう気になって、みんなめっちゃ声をはりあげて歌ったんすよ。情緒も音程もなにもない、シャウトでね、『蛍の光』をがなり散らしたんすよ。みんな半分笑いながらね。

 

で、歌い終わった後、おじいさんを見たら、『なんや、やればできるやないか! 卒業おめでとう!」ゆうて、さっきまでの鬼の顔がウソのような笑顔で、拍手しだしてね。ほんだら、他の保護者もドーっと笑った後、一緒に拍手しだして、オレらも何でかわからんけど、自分たちで拍手して、めっちゃ盛り上がったんすよ~」

 

と語った。1歩間違えれば、式自体、台無しになるハプニングが、一転、『生涯、忘れられない、楽しかった卒業式』となったわけである。

 

感動した僕は「それ、めっちゃいい話やな。僕もその場にいたかったわ~」と素直に感想を述べた。バイト君は「でしょー」と嬉しそうに言った。

 

で、彼が「先輩は思い出に残ってる卒業式とか入学式、あります?」と訊いてきた。

 

ないことはない。ただし、それは彼のエピソードのような感動とは無縁。むしろ、真逆の、トラウマに近い形で忘れられない思い出なのだが・・。

 

 

あれは高校の入学式でのことだ。その日、新入生は体育館に集められ、僕もそこで、式が始まるのを今か今かと待っていた。

 

で、僕の前に座っている男子2人が、同じ中学なのか、知り合いなのか知らんが、とても仲よさげにおしゃべりをしていた。他にもおしゃべりをしている生徒は結構いたが、「ただいまより、入学式を行います」のアナウンスが流れると、皆、一斉に会話をやめた。

 

ところが、前の2人は、式が始まってから、1分もたたないうちに、またおしゃべりを(小声ではあるが)、はじめたのである。

 

国歌斉唱の間も、入学宣言の間も、ずっとペチャクチャペチャクチャしゃべりつづけておる。後ろにいる僕は「よくまあ、そんなにしゃべれるなあ」とあきれ半分、感心半分という気持ちでおった。

 

しかし、校長の式辞が行われている最中、ついに事件が起きてしまった。

 

会場の端におった体育教師が「そこの2人! こっち来い!」と怒鳴ったのである。

 

当の2人はまさか自分たちの事とは、思っていないので、最初、キョロキョロしておった。だが、体育教師に「角刈りと坊主のお前らじゃー! メガネの前におる二人組じゃー!」と怒鳴られ、「はっ」と自分たちの事だと気づいたわけである。(ちなみにメガネというのは、僕のことですね)

 

青ざめた顔で体育教師の前に立つ2人。腰に手を当てた体育教師に「なんで呼ばれたかわかるよなー?」と聞かれて、2人は小さくうなづいた。

 

そして次の瞬間、新入生、保護者、来賓、教職員、在校生が注目する中で、「バシーン!」「バシーン!」という体育教師のビンタが、2人の顔面に炸裂した。

 

「戻れ!」と体育教師に命じられた2人は、目に涙、頬に手形をつけて、僕の前に戻ってきた。

 

何より驚いたのは、その後、まるで、何事もなかったように、校長がスピーチの続きをはじめたことである。それもニコニコ笑顔で・・。

 

うなだれる2人の背中を見つめながら、「と、とんでもねえ高校に入学しちまったよ~」と僕は恐怖でブルブル震えたのであった。

 

時は1990年代。元号は平成であったものの、まだそういう教師が、教育の現場には残っていたのである。 

 

・・・と言うエピソードをわりと沈痛なトーンで、話したところ、バイト君はなんと、手を叩いて爆笑し、「サイコーっすね! 昭和の入学式!」と言った。

 

「いや、一応、平成なんだけど・・」

「オレがそこにいたら、絶対、スマホで撮影してましたよ!で、ソッコー、ユーチューブにアップしてますよ!」

「いや、その時代、スマホもユーチューブもないし・・」

「そんな面白い映像、絶対バスりますよ! 余裕で百万回再生いきますよー! タイトルはそうっすね、『ビンタ入学式』。これでいきましょう!」

 

・・・僕の訂正をひたすら無視して、架空の儲け話に花を咲かせる令和の大学生。

 

はちゃめちゃ年下の若者に、おちょくられている、情けなさと悔しさで、僕は久々にブルブルと震えたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

花粉症テロリスト

大学時代、僕は某ショッピングモールの某書店でアルバイトをしていた。これは、ちょうど今くらいの、花粉症の季節の頃の話だ。

 

レジで座っていたら、店の外から、やたら大きな声の関西弁の会話が聞こえてきた。見れば、50代くらいの夫婦であった。二人とも同じような全身白づくめの服装、ずんぐりむっくりの体形で、しいて違いといえば、オッサンの方は丸坊主で、オバハンの方は短めのパーマをあてているくらいであった。

 

で、二人はこんな会話をかわしていた。

 

「私、ちょっと服を見てくるわー。冬物が安うなってるかもしれんからー」

「おお。そうか。いってこい。いってこい」

「アンタ、どうする?」

「わしは本屋で立ち読みしとくわ」

「けど、時間かかるかもしれんで」

「かめへん、かめへん。こんだけ本あったら、なんぼでも時間つぶせるわな」

「わかった。ほな、終わったら、ここくるわ」

「おお。立ち読みしまくったるわい」

 

堂々たる冷やかし宣言を店の前でぶちかましたオッサンは、堂々たる足取りで店の中に入ってきた。

 

まあ、書店というのは、何かを求めて訪れる客よりも、このオッサンのように、ふらーと入ってくる客の方が多いのである。なにげなく、手に取った1冊が意外とはまり、購入につながるケースも結構ある。だから、立ち読みや冷やかしも大歓迎、万引き以外、ウエルカム。

 

・・という事をこの書店で働き始めた際、店長に教わった。だから、このオッサンに対しても僕は温かく「いらっしゃいませー」と迎え入れた。

 

ところが、何事にも例外はあるという事を、この日はじめて知ることになる。

 

オッサンは、まず週刊誌のコーナーへ行った。じろーり見渡したあと、本日入荷したばかりの『フライデー』を手にとった。

 

そして、事件は起きた。なんと、オッサンは指をなめなめしながら、ページをめくりはじめたのである。

 

「おい。売りもんになに唾液つけてんだよ」と心の中で注意する僕。だが、けして声には出さない僕。当たり前だ。僕は何より、もめ事が苦手だし、ケンカもからきしだからだ。だから、黙認することにした。

 

ところが、その10秒後、もっとひどい展開となった。

 

なんと、オッサンが「ハクション!」と『フライデー』に向かって、ド派手にクシャミをかましたのである。(もちろん、現在のようなコロナ禍ではないので、オッサンはマスクはしていない)

 

「えー!」と目を丸くして驚く僕をよそに、オッサンは続けて「ハクション!」「ハクション!」「ハクション!」と3連発。

 

「あー。花粉症の季節は辛いわー」と独り言にしては、やたらデカい声で張り上げたオッサンは、その後、再び「ハクション!」「ハクション!」「ハクション!」と『フライデー』にクシャミをぶっかけたのである。

 

オッサンはその後も指をなめなめし、何ページかめくった後、『フライデー』をバサッと雑に棚に戻した。

 

ピカピカの1冊であった『フライデー』はオッサンの手により、わずか数分で、すっかり朽ち果てた姿と化した。

 

もしもこの1冊を『本屋で買ったばかりのピカピカの新品です。1度も目を通してません』というフレーズと共にヤフオクに出品したら、「てめえ、どこが新品だ! 唾液と鼻水でボロボロじゃねえか! 金返せ!」と落札者からクレームが来ること、100%である。

 

オッサンは次に『週刊文春』を手に取り、またもや、『指なめなめ→ページめくり→ハクション!→指なめなめ→ページめくり→ハクション!』と得意(?)の波状攻撃を繰り返した。

 

今や政界・芸能界を震え上がらせる『週刊文春』も、オッサンの前では形無しで、哀れ、『フライデー』に次ぐ、第2の犠牲者となった。

 

その後もオッサンは何冊か手にとっては同様の攻撃を繰り返し、わが書店は、週刊誌コーナーだけ、古書店へと化してしまった。

 

10分足らずで週刊誌コーナーを全滅させたオッサンは次にゴルフ雑誌コーナーへと向かった。そして、先ほどと同じ光景が再現された。

 

指なめえの、ページめくりいの、ハクション! ハクション! ハクション!

「あー、花粉症はたまらんのお」と大きな独り言。

指なめえの、ページめくりいの、ハクション! ハクション! ハクション!

 

店内に響き渡るクシャミの音で驚いたのか、パートの主婦A子さんがバックヤードから飛び出してきた。そして、オッサンを見るや、僕の所へ駆けつけ、こう言った。

 

「アンタ、何ぼーっとしてんのよ。注意してきなさいよ」

「注意って、何て言えばいいんすか?」

「『てめえが汚した雑誌、全部買い取れ』って言ってきなさいよ」

「そんなこと言えるわけないじゃないすか。A子さん、言ってきてくださいよ」

「逆上して殴ってきたらどうすんのよ。私、子供いるのよ」

「僕だって、時給700円で殴られたくないですよ」

「男でしょ。あれが女の客なら、私がいくわよ。さっさといきなさいよ」

 

A子さんにケツを蹴られた僕は、渋々、オッサンに注意しにいくことになった。

 

牛歩で1歩ずつ、オッサンに近づく僕。途中、1度立ち止まり、靴ヒモなど、ほどけていないのに、靴ヒモを結びなおす僕。

 

振り返ると、レジの中で、A子さんが「早くいけよ」と目で僕を追い立てていた。

 

仕方なく、立ちあがった僕が、再び牛歩のスピードで、オッサンの所へ向かいはじめると、書店の神様の助け舟か、救いの声が聞こえてきた。

 

「アンター、帰ろかー」

 

オッサンのヨメハンが戻ってきたのである。

 

「なんや、えらいはやかったやないか」

「それがな。私、花粉症やろ。服にくっしゃん、くっしゃんしとったら、露骨に眉ひそめた店員が『お客様、困ります』て、注意してきよってん。洗ったらしまいやないの!」

「なんや、その店員。ワシがそんなん言われたら、バコーンかましたんのに!」

「やめて。アンタ、また入ることなるで」

「それはカンニンや。ワハハハハハ」

 

 

派手な笑い声ともにオッサンはオバハンと共に店を去っていった。

 

あの二人は夫婦そろっての花粉症で、夫婦そろって、店の商品にクシャミをぶっかける、花粉症テロリストだったわけである。

 

もし、自分が牛歩もせず、靴ヒモも直さず、オッサンの所へ直進していたら、間違いなく、バコーンかまされていたわけである。そのバコーンがなんなのか、そして、オッサンがどこに入っていたのか、怖くてあまり考えたくないが、とにかく、僕は牛歩と靴ヒモを発明した人に思い切り感謝した。

 

不思議なもので、一度こういう体験すると、以降、少々面倒な客が来ても何ら動じることはなくなった。

 

雑誌をくくっているゴムを外して、堂々と立ち読みをはじめたおばさんを目撃しても、まあ、あのオッサンに比べれば、マシかと思えるようになった。

 

今はやりの言葉でいうと、あのオッサンは『ワクチン』であり、僕に免疫ができたのであろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

人気ブロガーの抱負

某ブロガーのAさんが今年の抱負をブログに書いていた。

 

「去年は月間30万PVを達成することができた! 今年は月間50万pvを目標にがんばるぜ!」

 

50万!? 30万でもめちゃめちゃすごいのに、さらに上積みを望むとは・・。

 

ワシのブログの先月のPV数は、たったの「5」である。単純計算すれば、年間60pvしかないので、30万pvを達成しようとしたら、5000年かかるのである。

 

人が5000年かかるPV数をたった1ヶ月で稼いどるのに、それでは満足できないなんて、大した貪欲野郎である。

 

だが、Aさんに言いたいことがある。そんな目標をわざわざ書く必要があるのか?

 

アメーバのランキングやブログ村のランキングを見ればわかるが、あなたよりPVを稼いでいる人(つまり上位にいる人)は、そんな抱負を語ったりしていないのである。彼らの1月1日の記事をみてほしい。

 

「今年は去年以上に面白い記事を書いていきたいと思います。応援よろしくおねがいします」とか、「昨年はコロナで大変でしたが、読者のみなさんの励ましによって、続けることができました」だの、「今年1年が皆様にとってよい年になりますように」など、みんな謙虚なことしか書いていないのだ。

 

本音では、そんなことちっとも思ってやしないくせにだ。

 

Aさんが学ばなければならないのは、この「見せかけの謙虚さ」である。心の中では、全員、「たくさん収益が得たいので、月間1000万PV達成できますように」と、思ってるが、あからさまに書いても、プラスに働くわけない。好感度のため、本音と建前を使い分ける。このしたたかさが上位ブロガーたるゆえんなのだ。

 

数字を目標に掲げる、みっともない抱負を書いているうちは一流にはなれないのである。Aさんには、ぜひ、小賢しさを身につけ、さらなる発展を遂げてほしいものである。

 

ちなみにワシの今年の目標は月間30万PVを達成することだ。そして、その夢が叶った暁には、ランキングでビリの方をチョロチョロしてる奴のブログを次々に訪れ、片っ端から、コメント欄にヤザワよろしく、こう書き込んでいきたい。

 

「おまえがどんだけ更新しようが、どんだけ面白い記事を書こうが、おまえが一生かかって稼ぐPV数、ワシの2秒!」