演劇ノンタス

雑記ブログ

寿司職人になった同級生

僕には、寿司職人になった同級生がいます。

 

タケオ(仮名)というやつで、小さいながら自分の店も構えています。(店の名前は「タケオ寿司」。そのままやんけ)。

 

同級生のよしみで、たまに食べに行くのですが、正直、味はいまいちです。

 

僕は普段、回る店でしか、寿司を食べたことがないので、もしかして、自分の味覚に問題があるのでは・・と思ったりもしていました。

 

しかし、会社の同僚と食べに行った際、店を出た後、「あいつ、本当に修行したんけ? スーパーの寿司の方が何倍もおいしいぞ」と、同僚が陰口をたたいていたので、タケオの腕は、違う意味で、本物なんだなと確信しました。

 

タケオは高校卒業後、調理師学校に行って、その後、九州のお店で寿司修行をしたそうです。

 

タケオから聞いた、その頃のエピソードを2つほど紹介します。

 

①ケンカ事件

ある日、タケオが他の弟子とケンカになったそうです。最初は口論だったのですが、だんだん互いがエキサイトして、ついにつかみあいに発展しました。

 

すると、そこへ兄弟子のAさんが現れ、「おいおまえら、なにやってんだ!」と止めに入りました。

 

そして二人を引き離すや、「いいか! 寿司職人の手は寿司を握るためにあるんだ! 人を殴るためにあるんじゃない!」と一喝したそうです。

 

このAさんという兄弟子は、普段、寿司をつまみぐいするわ、おつりはまちがえるわ、段取りは悪いわ、出前中にパチンコ行くわで、正直、タケオは見下していたのですが、この言葉には、すっかり胸を打たれたそうです。

 

「Aさんの言う通りだ」

 

タケオは、すぐさま反省し、相手にも謝り、和解をしたといいます。

 

ところが、後日、マンガ喫茶で「将太の寿司」を読んでいた所、Aさんの放ったセリフが、まんま載っていたのを発見しました。

 

「なんじゃい。ネタ元ここかい。あのAさんの口から、あんな素晴らしい言葉が出てくるなんて、おかしいと思ったわい。まったく、あいつは寿司だけじゃなく、マンガからもつまみぐいするんやな」と、タケオはそれまで以上に、Aさんを見下すようになったそうです。

 

②親方の失言事件

とある日の営業中。店の電話が鳴りました。親方がとったところ、それはクレームの電話でした。

 

「子供の誕生祝いに注文をしたのだが、さび抜きにしてくれと頼んだのに、全部さびが入ってるじゃないか!」

という内容でした。

 

親方は「どうもすみません!すぐにさび抜きを持ってまいります!」と電話の向こうの相手へ平身低頭に謝罪しました。

 

ところが電話を切った後、親方はさっきまでの態度はどこへやら、「ふん。ガキに寿司を食わすなんて、十年早いわい」と、悪態をついたそうです。

 

あいにく、その時、店内には親子連れのお客さんがいました。その家族は結構な割合で、店に来てくれる常連さんでしたが、以降、店に来ることは一切なくなったそうです。

 

 

環境が人を作ると聞きますが、こういうヘンチョコリンな親方と兄弟子に囲まれて修行をしたタケオの寿司が、いま一つなのも、当然の帰結といってもいいでしょう。

 

 

さて、そんなタケオですが、最近、インスタを始めて、自分の握った寿司を定期的にアップしています。

 

いかにおいしく見えるか、光や角度を考え、いろいろ工夫をしながら、撮影しているそうです。

 

そんなもんあげるヒマがあったら、寿司職人としての腕をあげんかいと思う今日この頃です。

 

 

 

 

今週のお題「寿司」